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オリジナル小説。



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「戦国恋話」からみの話リスト。


炎、雪夜、そして君の手 シリアス 短編
 ねえ、グレイ。まだあきらめないで。
 少女の前に膝をつき、彼女の肩に手を添えて、ブルーは繰り返す。手に入れたすべてのものが、あの日と同じように炎に消えていくのを見ながら、ブルーは青い瞳を和ませて笑った。
 ねえ、グレイ。泣かないで。まだ雨は降らさないで。

火事の夜に出会った少年と少女。彼らはその時に記憶を失い、家を失った。二人で手を取り合って生きてきたが、ある日……。
テーマ「空」覆面作家企画3冬に寄稿した作品です。
モノクローム ほのぼの 短編
「好きです」
 この言葉を口にするのに、どれだけ力がいるものだろう。
 同じ学校、隣のクラス。他の子みたいに染めていないストレートの黒髪がきれいだ。スッとたったときの姿勢がキレイで、控えめで、だけど良く笑う。
 最初はそれくらいしか知らなかった。イメージで好きだった。

テーマ「花」お題「見る」「爺(老人)あるいは婆」「舞台」「夢」「散る」。制限時間、2時間。
靴箱にいつも届けられる手紙。少女に寄せる少年の淡い恋、そしてひっかきまわす悪友たち。
闇然の華 シリアス 短編
 何故、と問う私の声に明確な答えはない。必要も、答える言葉そのものもないだろう。
 ただそこにいたから、他には何もない。
 己の不運を嘆け。他には、何もない。
 生きていきたければもがくがいい。

お題バトル参加4回目。テーマ「刃」
お題「痛み」「暗色」「美」「きらめき」「鋭利」使用。時間制限2時間。
「蓮華」と同一世界観。「蓮華「は中編打ち直し中なのですが、そっちに出てくる女性がメイン。今回もカギカッコ排除。
美しいものとは恐ろしいもの。
黒衣の天使と夜の闇 シリアス 短編
「じゃあ、推理してみようよ」
 不安定な場所にいることをまったく意識していない顔で、彼は無邪気に提案をした。危なげもまるでない。
「死神に呼ばれたのと、夢遊病で歩き回っているのと、実は自殺願望だったのと、二重人格と、どれがいい」

ある夜、気がつくと屋上にいた私。そこには不思議な少年がいて……。
テーマ「星」覆面作家企画2に寄稿した作品です。
友との誓い 連載中 時代 長編

戦国時代。神宮領の片隅で暮らしていた明流と紫雲。
いつまでも、この日々が続くものだと思っていた。
蓮華 シリアス 短編
「だって、こんな月の夜に、黒いコートのきれいな男の人がこんな辺鄙なところにいるなんて。ねえ、物語みたいじゃない。あなたはなあに」
 長い睫毛が瞬く。
 同じ血が、同じ言葉を問う。
「ねえ、私を食べるの」

お題バトル参加3回目。テーマ「夜」お題「夢」「闇」「華」「照明」「月」「寝床」「夜霧」使用。制限時間2時間……の1時間オーバー。
月の夜の鬼と少女の語らい。夜と沼と沈んだ少女。
スイートタイム ほのぼの 短編
 聞いた途端、なーんだあー、と涼子はあからさまにガッカリした。まるで自分のことのように肩を落とす。ケーキの上に乗っている、アジサイの砂糖菓子をぺろりと一口で平らげて、思い出したように言った。
「彼女いるって?」
「わかんなーい」

女の子のしあわせな時間。おいしいケーキとおいしい紅茶、おいしいお酒と、大好きな友人と。ほのぼのまったりです。
お題バトル参加2回目の2。……というか、こっちがメイン。テーマ「しあわせ」お題「抱擁」「お砂糖」「あなたのそば」「花」制限時間2時間。
猫とお守 ホラー? 短編
 仔猫が首からお守を下げて歩いていた。首輪でなくて、お守。これ如何に。
 よく見ると、不恰好な縫い目のお守で、そのくせ白い猫に映える赤だというのが笑える。いや、ええと、微笑ましい。

猫と少年と少女。猫は霊をみているとかよく言うけど……?
お題バトル参加2回目。時間が余ったので書いてみた。テーマ「しあわせ」お題「仔猫」「お守」
制限時間2時間。
沈む日 SF? 短編
 ハイテクは死んだ。必要なのは、這いずってでも生き延びる意志、そしてそれを形にする力だ。
 本当に、俺はラッキーだった。

隕石が降って、一度滅びたも同然の世界。めちゃくちゃになってしまった世界でも、生き残ったものは生きていかなきゃならない。決意する少年と家族。
お題バトル初挑戦その2。テーマ「終わり」お題「時計」「初夏」「夕暮れ」「出がらし」「テスト」「目覚め」でした。「初夏」以外は使ったかな。
制限時間2時間。
宵闇の部屋 恋愛? 短編
 いつまでも、遊んではいられないのよ。
 夜になったら目を覚ますの。だって、危険でしょう。
 大人の時間なのだもの。
 容赦ない鬼が、食べに来るのよ。
 ねえ、どうするの。

すこし退廃的な雰囲気。決断を迫る少女と、選ばされる少年。
お題バトル初挑戦その1。テーマ「終わり」お題「時計」「初夏」「夕暮れ」「出がらし」「テスト」「目覚め」でした。「出がらし」以外は一応使用かな。
制限時間2時間。
雨垂れ拍子 現代 短編
 表情のない女は、声にも音がないようだった。
 違うよ、こっちの傘は猫にあげるんだ。ぼくの家はすぐそこだから、もう一本は、おねえさんにあげる。
 ぼくが子供用の少し小さな傘を差し出すと、彼女はまた重たそうな睫毛を瞬かせた。

少年と女と猫と雨。ちょいと実験的なものです。カギカッコとかを排除してます。
ちなみに、「雨垂れ拍子」ってのは、雨が降るように鳴る音楽のことだったかで、初心者のピアノのことなんかをさすんだったかな。と、いらぬ解説をしてみる。
落つ白、散る赫い花 時代物 短編
 白い庭で少女が泣いている。
 溶け込むような、白い寝巻き姿のままで、椿の生えこみの前にうずくまって泣いている。吐く息も白く漂い、ただ上気した頬と裸足の指先が赤い。

時代物。一応明治です。体の弱い青年と、従姉妹の少女の話。
テーマ「花」「覆面作家企画 わたしはだあれ?」さんに寄稿してました。
事の始め 現代FT 中編
「くだらねえ」
 吐き捨てるように落とされたその声は、高く幼く、小さかったが容赦がなかった。
 黒い影に思えたのは、逆光のせいで紺のセーラー服がより濃い色に見えたからか、それともその人の持つ空気のせいか。もしセーラー服を着ていなければ、小学生に思えたかもしれないほど顔立ちは幼く、そして口調の辛辣さのせいで少年だと思っただろう。

現代FT。バトルファンタジー……かな。
瞬き ひとひら(別窓) 現代子供 短編
「死んだら星になるんだって」
 カズくんは、空を見上げて言った。
「じいちゃんは星になったんだって」

童話風味……とまではいかないかな。
「死ぬってなに?」ほんわかした雰囲気でちょっとまじめかも。
(『リハビリ企画』 より)
A little more(別窓) 現代恋愛 短編
「平気。あたし、ぼんやりしとうし、人待つの好きやけん」
 慌てていた彼に、あたしはにっこり笑う。そうか、ごめんな。と言ってくれる彼を見ていたら、それだけで暗くなりかけてた気持ちが晴れていくから不思議。
「行こっか」
 彼が手を出してくれたので、あたしは彼の手を握る。あったかい手に掴まって歩き出した。

ほのぼの女の子一人称。まったりしあわせ、ではないかもしれない。
ちょっと方言。 (『リハビリ企画』 より)
君のために 時代 長編

西を神宮が、東を飛田が制圧し、国は二つに割れていた。
西の主は、佐保姫と呼び親しまれる女当主、緋華。そして凄惨な状況に追い込まれている東の飛田領。当主は「美しき鬼」と呼ばれる、飛田晟青。

あなたに出会ったことで、すべてが変わった。
栴檀の君の香は 時代 中編
謝られるのは嫌いだった。
意味がないから。すごく、みじめな気持ちになるから。救いがない気持ちになるから。どうしようもないんだって、言い聞かされている気がしてしまうから。どうにかすることもできないし、どうにかする気もないんだよと。

戦国時代の有力武将である神宮家。七歳の長男紅巴は、長子でありながら側室腹の自分が「予備」でしかないのを察していた。わがままで奔放な弟にいらだち、体が弱い自分自身にもいらだちながら、何もかもを押さえ込んで。
フラッド FT 短編
 垂れ込める暗雲。
 絶望ってなんだ。

崩壊しかけた世界。生き残った人間は戦争ばかりしている。そこで俺は、雨に打たれながら、生き延びるためにはいずっていた。
お題「根性のねえ臀部だな!」(『作家志望のあなたに12の無茶なお題〜トリコロールって素晴らしく語感がいい〜』 さんより)
ランドセル、異常に似合ってるぜ 現代 短編
「どうしてこんなことになるんだ?」
 問いかけに、男はにやりと笑う。唇の端を、ぐいと横に引っ張るようにして。

お題「ランドセル、異常に似合ってるぜ」(『作家志望のあなたに12の無茶なお題〜トリコロールって素晴らしく語感がいい〜』 さんより)
トマトピューレのかわりにケチャップ使ったら、すごい味になった 現代 短編
俺の友人に、吉田という奴がいる。
大学の学科が同じ腐れ縁で、とりあえず友人だ。友達とはちょっと言いたくない。
最近、知人に格下げしてもいいかと思っている。

変な友人に振り回され……というか、友人ウォッチングをしている青年の話。
お題「トマトピューレのかわりにケチャップ使ったら、すごい味になった」(『作家志望のあなたに12の無茶なお題〜トリコロールって素晴らしく語感がいい〜』 さんより)
マーメイド(別窓) 青春 短編
 口にしない。口にしないから内に泥がたまっていく。

進路に向き合う年齢になった少年ふたりのすれちがう思考。大人になりたくないってどういうこと? それは前向きな意志なのか、ただの逃げなのか。
(『リハビリ企画』 より)
誠実とわがままと(別窓) 童話風味 短編
 けれどもやがて人々は気づきました。乳母の腕の中で姫君が、鮮やかに笑いながら、また大きな声で泣きながら、少しずつ成長していく様子を見守っている間に、様子がおかしなことに気がつきました。
 姫君は、目が見えなかったのです。

目の見えない亡国の姫君と、恐れ知らずの若い皇帝の話。
(『リハビリ企画』 より)
過ぐる季節を君と 時代 中編
 瞳を閉じて、わざと少し明るい声で言う。いつもと変わらない、優しい穏やかな声で。
「あなたで良かった」

春の日、政略結婚のため、隣国の神宮家へ嫁ぐことになった鷲頭(わしず)家の末姫。
初めて踏み入れる土地で、祝言の日に初めて夫となる人に出会った。「弟に跡目を取って代わられそうな暗愚」と噂される夫、「兄から家督を奪おうとしている」と口さがなく言われる義弟。複雑な跡目争いの中、神宮の家中になじもうと努力していたが。
君の手の上 連載中 時代 長編
「やけになってるんですか?」
「やけに見えるか、これが」
 彼は顔を前へ戻すと、いつも通りの声音でつぶやいた。
「女など、どれでも同じだ」

「もう二度とこないで」
 恋人に突然の別れを告げられた春の夜。
 時代は幾度かの政変の後、かりそめの平穏の中にあった。戦乱は過去のものとして語られている頃。沈黙を守り続けていた神宮家に、政略の手が伸びる。再びの動乱が起きようとしていた。
禍言の葉 完結 現代FT 長編
 身体の痛みに目眩もするし息があがるが、諦める原因にはならない。
 ――もう。何者にも。
 額を流れる汗をそのままにして、使いものにならない腕をだらりと垂らし、そこから血までも流しながら都雅は、もはや彼女に視線も向けていない相手を睨みつけている。

夜の学校。そこで起きる不可思議な出来事。そこに巣食うものとは。
傍若無人な魔道士の少女とおせっかいな黒猫のコンビ、高飛車な美少年と年寄りくさい少年のコンビ怖がりな巫女が活躍ホラー風味なファンタジー。
春の心は(別窓) 和風FT 短編
簡単に、そんなことを言って、笑わないで。

古代ファンタジー。春の風を司る女神と、海神の話。ちょっと恋話風味。 (『リハビリ企画』 より)
君は冬の陽に目覚め――戦国恋話 時代 長編
「何が幸に転じるか分からない。これも運命だと言うのなら、お前はお前で、ぼくはぼくで、それに戦っていくしかないんだな。どうかこのことが、この刀が、お前にとって幸運に働くように」
 願うことは、同じだった。

 戦国時代、西の一部を治めていた神宮家と、東の有力武将である飛田家とは、戦国の始まりから長い間険悪な間柄にあった。
 命を懸けて国と家族を守ろうとする人、国か大事な人かの選択に苦悩する人、絡み合う陰謀と罠。その中での安らぎと恋。
君の死が別つとき(別窓) 時代 短編
「俺を守り続けるくせに、俺が先に死んじまうのか?」
 美しい少年は、困ったように笑った。
「守ってるわけじゃないんだけどねえ」
 彼は、楽しげに反論した。

乳兄弟主従のある日の話。馬鹿は後を絶たない。逆らえば彼に殺されてしまうのに。目の前に転がる死体。あまりにもばかばかしい、現実。 (『リハビリ企画』 より)
現代 短編
「これってエイリユウカイっていうのじゃないの?」
 こまっしゃくれた返答に、少年の笑みは驚きに変わり、それから苦笑になった。

道端に立ち尽くす少女と、不思議な雰囲気の少年。
隙間の生活 現代 短編
 引っ張られるまま、俺は真っ暗な空間をカニ歩きで歩いて行く。
 これがかなりつらい。これから一体どうなるんだとか、元に戻れるのかとか、いやはや、これは夢なのではとか考えていたのは最初の頃だけで、すぐに俺は歩くのに集中しなければならなかった。

ある日、道を歩いていたら、5ミリの隙間の壁から、手が俺を手招いていた。
ビルとビルの間には、人の知らない世界が広がっているらしい。
水ニ眠ル。 FT 短編
 たゆたう水が身にまとわりついている。やわらかくそこに溜まっている。もはや温度も分からぬほどぬるく、人肌のような温度で体を取り囲む。そこから腐敗していくような、怠惰な感覚とともに。

生ぬるい空気、生ぬるい水。誘う声と、誘われる人。

吉野桜さんからのキリリク小説。ショートホラーってことでリク頂いたのですが……。
とりあえず、雰囲気のみ。
徒然に 現代FT 短編

卯月氏からキリリクの、オリキャラ奏の話。独り言口調です。日刊連載してましたが、停滞中です
帰り道 現代FT 短編
「やっぱり、幻術か。ちょっと綻びてるな」
 都雅は平然と、結界の方もか、とつぶやく。
 菊や都雅のような、尋常とは言い難い力を持ったものを通す程度には弱まっているようだ。実験体に菊を使って確信を得た彼女は、おもむろに隣の少女に顔を向ける。

ある日の帰り道、少女は奇妙な出来事に出会う。行方不明の弟を探すため、少女が助けを求めたのは、無愛想な少女と一匹の猫だった。

当サークルのペーパー9号に載せた小説です。ついつい書いてしまうオリジナルコンビ。「エゴイスト」と同キャラですがつながってません。ファンタジーと言うか伝奇と言うか…。01年作。
それが儚い夢でも 中華 短編
 そして深く、祈るように思う。
 ――どうか、天よ。
 重い足を引きずって、前に踏み出しながら、ただ思う。血のにじむような、声にならない叫びを、ただ心の中で唱え続ける。
 死ぬわけにはいかない。生きなければ。行かなければ。

中国三国時代、倒れそうになりながらも、必死で前に歩き続ける男がいた。

漫研と文芸の合同部誌に、漫研部員なのに掲載した小説。
三国志小説の「こころの嘘」にオリジキャラとして登場した李芳の話。
彼の長編も考えてはいたり…。00年作。
エゴイスト 1、2。 現代FT 短編

ある日、その猫が出会ったのは、傍若無人な魔道士の少女だった。黒猫は、飼い主を助けてくれるよう彼女に助けを求める。

書いた時期は「悠久の時を」とほぼ同じです。若かった…。文章もあまりに若くてお恥ずかしいです(泣)。載せようかどうしようか、開設時期から迷ってた気がするけど、載せてしまいます。結構コミカルです。98年だったかな
悠久の時を1、 時代伝奇? 短編

――鬼が、出るよ。
鬼伝説の残る山に、奇妙な二人組みが現れる。彼らが出会ったのは、いなくなった弟を探す少女と、自らを鬼と名乗る一団だった。

ついつい書いてしまうコンビ。書き出し96年(しかもそのまんま)。ブランクあって完結は98年だったかな。軽い一人称ギャグです

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